病気と闘う時のお粥
ここで病気の際の食事としてのお粥について考えてみたい。
発熱している時はエネルギーの消費が高まっている。具合の悪さから食事を多く取れなくなってしまうことがあるのだが、病気と闘う上でエネルギー補給はどうしても必要だ。では、発熱によってどれくらいのエネルギーが消費されているのだろうか。病状や体格など個人差が大きいものだが、あくまで1つの目安として、下記のエネルギー量を参考にしてもらいたい。
《発熱時、1日に必要なエネルギー》
男性 18~74歳:約2,460kcal
75歳以上:約2,150kcal
女性 18~74歳:約1,880kcal
75歳以上:約1,700kcal
(*計算式:基礎代謝量[kcal/日]×活動係数×ストレス係数
活動係数:ベッド上安静時 1.2、ストレス係数:熱38℃ 1.4)
文部科学省の食品成分データベースによれば、炊いたご飯が100gあたり168kcalなのに対し、全粥(米20g相当)は71kcalだ。お粥の場合、同じ重量のご飯と比べ、エネルギー量は半分以下になる。お粥だけでは病気と闘うための十分なカロリーを得るのは難しそうだ。
「病状に応じてですが、食べられるようになったら卵や柔らかく煮た魚を加えたり、濃いめのお粥にしたりするなど、回復のためにしっかりエネルギー補給をしていただきたいです。レトルトなど市販のものを食べるときも、成分表示表のカロリーをチェックしてエネルギー不足に気をつけてください。
もしもお粥やご飯を受け付けない状態や、あるいはお粥を好まれない人の場合は果物の缶詰もおすすめです。のどごしが良くて素早くエネルギー補給することができますし、万一の時の備蓄も可能です。他にも茶碗蒸しやゼリー、アイスクリームなど食べやすく感じるものでエネルギー補給をしてください。体調が悪いときには『食欲に合わせる』ことが大事です。消化の際に負担がかかる脂質や食物繊維の多いものは控えつつ、『これなら食べられる』というものを選んでいただきたいと思います」(大塚さん)