毎日やってくる朝。皆さんはこの忙しい時間帯に朝食をとっているだろうか。前後篇にわたって、朝食は体にどのような影響をもたらすのか、そして朝食は体にとってよいことなのかを問い直している。

 前篇では、朝食が体にもたらす影響を、「時間栄養学」を研究する早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授に聞いた。

 前の食事との間隔を長く空けてからの食事(ブレックファスト)には、体内時計をリセットする効果があるという。朝の光を浴びるとともに、前日の夕食との間隔を空けてからの朝食で体内時計をリセットすることは「普通によい」と柴田教授は説く。

 しかし、世の中には反対に「朝食抜き」を勧めるような主張がまたあるのも事実だ。いわく、「朝食抜きでも問題ない」。いわく、「朝食をとらない方が体によい」。習慣的に朝食をとっていない人にとっては、「そう。これでいいんだよ」と自分の生活習慣に納得を与える理論にもなっているかもしれない。

 これらの「朝食抜き」の理論は、柴田教授の眼にはどのように映るのだろうか。そこで後篇では、「朝食抜き」の主張で言われている様々な主張を柴田教授に投げかけてみることにしよう。

「量」の問題は避けられない

──前篇では、「普通の生活をして、朝の光を浴びる時間帯に朝食をとることは体にとって普通によい」という結論でした。しかし、世の中には、反対に「朝食不要論」や「朝食悪玉論」も見受けられます。

 まず、朝食をとらなくてもエネルギー補給の点では問題ないとする論があります。例えば、朝食が朝から昼にかけての活動のエネルギー源になるという話に対して、「夕食でとったエネルギーは、朝もまだ蓄えられているので、食べなくても活動する準備はできている」という論があります。

柴田重信教授(以下、敬称略) 夕食や夜食をたくさんとっている人はその通りでしょう。寝て起きてもまだエネルギーを処理できないような夕食や夜食のとり方をしていれば、それは当然、朝もまだ蓄えられているということになります。