その日、延世大学のキャンパスでは朝から30人ほどの学生が座り込んで反政権の歌を歌っていた。建物の裏では学生たちがせっせと火炎ビンを作っている。

 火炎ビンに使われているのは韓国の焼酎「真露」の小瓶とOBビールの中瓶。中にベンジンを流し込み、布きれで栓をしたら出来上がりだ。布きれの端に100円ライターで火をつけて投げる。

「ガソリンは使わないの?」、「ガソリンじゃ危ないだろう」。なるほど。

 その他の武器は鉄パイプ、そして無数にあるこぶし大の石だ。

炎に包まれる機動隊員

 やがてキャンパスの門から道路を隔てた鉄道の土手の前に機動隊の車両が集まり始めた。それを見た数人の学生が火をつけた火炎ビンをクルクルと回しながら機動隊めがけて投げつける。機動隊員の前で火炎ビンが瞬間大きな炎をあげると、そこから騒乱が始まった。

片手に火炎ビン、片手に鉄パイプで抵抗する学生たち(写真:橋本昇)
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延世大学の前で機動隊に向かって火炎ビンを投げる学生(写真:橋本昇)
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 学生たちは次々と門の外に出てきては火炎ビンを投げつける。キャンパスの中からは無数の石が飛んでくる。隊員のヘルメットに当たった石が次々にカーンと乾いた音をたてた。機動隊の傍まで近づいて大声で拳を突き上げて挑発する学生もいる。

学生が投げた火炎ビンが機動隊にあたったて燃え上がる。が、直ぐに消化され、機動隊員に火傷はなかった(写真:橋本昇)
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