動物が「娯楽」として性的行動に走る理由

 有性の配偶子は運動性のある精子が相手を探し、もう一方の配偶子である卵子は待機し、やがて合体する。

 精子を放出するのが雄であり精子は数が多い。それを待つのが雌であり卵子は少ない。その結合により生物は繁栄する。

 性的衝動は人間以外の動物でも、妊娠可能な時期に発生する。では、性的衝動があるなら、性的快楽であるオーガズム現象は動物たちにも認められるのか。

 多くの種の動物の雄雌ともにオーガズム(性的絶頂)の反応が観察されている。

 生物の性行為は繁殖が目的と捉えられがちだが、その多くは娯楽として自慰を行う。牛、馬、猿、犬、なども人間同様に、そうした行為を行っている。

初めての有性生殖を行った可能性があるフニジア・ドロシアの化石。南オーストラリアの海底で発見された(『ナショナル・ジオ・グラフィック』2008.04.01)

 ならば生殖行為を伴わない自慰行為を、動物が行う理由はどこにあるのか。

 それは、こうした行動は快楽を得るだけでなく、種の保存を目的としている側面がある。

 つまり優れた子孫を残すため、古くなった精子を放出して、新鮮な精子をスタンバイさせていると考えられている。

 昭和50年代前半、自販機で売られていた官能劇画誌の巻末記事に、こんにゃくを人肌に暖めて切り込みを入れ竹筒入れる自慰の方法が紹介されていた。

「性」への飽くことなき探求の末に編み出されたその発明に、当時、中学生だった私は驚きと感動を覚えたが、チンパンジーがカエルを使って自慰する場面が目撃されている。

 誰に教わることなく、道具によって快楽を得たチンパンジーの叡智・・・。

 私は思わず脱帽したのだった。