神殿娼婦とは神官に住んでいる当時の神官・巫女。神殿に住む女神の体現者である巫女と性交をすることにより女神の恵みを得るというのもで、巫女は、寄進を受けた者に神の活力を授けるために性交渉を行い、男性は巫女とつながることで神の力を授かることができる、と信じられてきた。

「性」と「聖」は同一と捉えられ、性的行為そのものが神聖な行為とされた。

 絢爛豪華な神殿に住まう女神のような麗しい婦女子との会心の房事は快楽だけでなく、自分が王か神になったような気位をもたらし、さぞ自尊心も高揚したことだろう。

 同様のことはアテネ、キプロス島、カナン、コリントスでも確認されている。

「エッチ」の語源は明治20年代、都内の女学生が夫(=Husband)の頭文字「H」を、性的な意味で使われた隠語で、性行為の婉曲表現として使われたのが始まりといわれる。

神殿娼婦との性行為は神の活力を授かる神聖は行為であった

 その背景に潜む意味は変態の「H」という頭文字からきている。

 変態とは「変態性欲」の略で性的倒錯があり、性行動が普通とは変わっている状態を指す。

 つまり、「エッチ:H」とは夫=Husbandと、変態性欲の頭文字Hのダブルネームなのだ。

 性行為を変態行為と表現したのは、「性」に対する禁忌と羞恥を込めた明治時代の女学生が無垢で可憐な乙女たるゆえんであろう。

 私たちは、魅力的な異性が目の前を通り過ぎれば、無意識に視線が後を追ってしまう傾向にある。