【上層】
第4に、「上層」を
(1)「上層下位」(月収3000~5000元<7万8250円>。1億5695万人で人口の11.21%)
(2)「上層中位」(同5000~1万元<15万6500円>。6328万人で人口の4.52%)
(3)「上層上位」(同1万~2万元<31万3000円>。784万人で人口の0.56%)
の3クラスに分ける。
この層は、生活に余裕があるだろう。なお、「上層」全体では2億2807万人、全人口の16.29%である。消費に期待が持てる。
【最上層(富裕層)】
第5に、月収「2万元」以上の「最上層」(富裕層)は、全体の0.05%で70万人いる。「紅2代」「紅3代」(日中戦争や国民党との内戦に参加し、建国に貢献した共産党の元高級幹部の子弟)、あるいは「官2代」「官3代」(新中国成立後、貢献した元高級官僚の子弟)らが中心とみられる。
『研究』の数字を見る限り、冒頭掲げた「クレディ・スイス」の調査結果とは著しく異なる。中国大陸の中に1億人のミリオネアがいるとはとても考えづらい。だが、万が一、中国当局が「スーパー富裕層」の実態を隠蔽しているならば、考えられなくもないだろう。
おそらく、「クレディ・スイス」のいう「中国人」とは、「中華系」の人々を指すのではないか。台湾人・香港人や東南アジアの華僑・華人、あるいは、北米やヨーロッパの華僑・華人の数すべてを合わせた数ならば納得できる。
[筆者プロフィール] 澁谷 司(しぶや・つかさ)
1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。2020年3月まで同大学海外事情研究所教授。現在、JFSS政策提言委員、アジア太平洋交流学会会長。
専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等多数。
◎本稿は、「日本戦略研究フォーラム(JFSS)」ウェブサイトに掲載された記事を転載したものです。