(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 2020年7月、米国南部テキサス州ヒューストンに所在する中国総領事館が閉鎖された。米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、7月7日のハドソン研究所での演説で、「FBIが調査している5000件余りのスパイ事件のうち半分は中国に関連したものであり、中国と関連した産業スパイ行為がこの10年間で1300%増加した」と述べた。さらに米国務省は、ヒューストンの中国領事館が新型コロナウイルスワクチン情報流出にも関与したことを明らかにした。

中国との関係を虚偽申告して起訴されたハーバード大学教授、チャールズ・リーバー氏(2020年1月30日、写真:ロイター/アフロ)

 これまでも中国は全世界を対象に様々なスパイ活動を行ってきた。特に欧米や日本などの技術先進国に対しては、サイバーテロやヒューミントによる多重多層な技術情報窃取を繰り返してきた。