バイデン政権の中国政策はどうなるのか(写真はニューヨークのチャイナタウン)

イメージが難しい「国際協調+対中強硬」

 ドナルド・トランプ氏対ジョー・バイデン氏による米大統領選が佳境に入っている。

 どちらが勝つかによって、今後の日本に、間違いなく大きな影響を及ぼす事項の一つが、米国の対中政策であろう。

 2018年10月のマイク・ペンス副大統領の演説を一つの節目として、トランプ政権がさらに対中強硬姿勢を強めていることは、周知のとおりである。

 これに対して、民主党のバイデン候補が選挙に勝って大統領になった場合、その政権の対中政策がどのようになるのかについては、2つの見方がある。

 一つは、これまでの民主党政権の傾向からして、バラク・オバマ政権発足時のように、対中融和政策を採るとの見方である。

 そして、もう一つはトランプ政権とは若干のニュアンスの違いはあれ、中国に対する厳しい姿勢に、基本的に変化はないとの見方である。

 前者の見方をする識者は、選挙期間中の現在は、トランプ陣営から対中弱腰と批判されることを恐れて、バイデン陣営も中国に対して厳しい姿勢をとるかの如く装っているだけだと指摘する。

 地球温暖化問題などでの国際協調を重視する民主党政権になれば、中国の協力を取り付ける必要性から、結局は中国に対して融和的にならざるを得ないと見るのである。

 反対に後者の見方をする者は、中国はそれまでの米国の期待に反して、経済発展しても民主化する兆しが見えないと判断し、米国が強硬策に転換し始めたのは、オバマ政権の後半からであるという点を指摘する。

 中国が、サイバー攻撃を含む違法な知的財産窃取などにより、米国の技術優位を脅かす安全保障上の脅威となった現在、もはや対中強硬論は、共和党か民主党かを問わず、超党派の共通認識になっているというのである。

 ただし、いずれの意見を主張する側も、トランプ政権の「アメリカ第一主義」に対し、バイデン政権になった場合には、国連をはじめとする国際機関や、同盟国・友好国との協調をより重視する外交姿勢に転換するとの見方については、ほぼ一致しているようである。