「新たな天安門」は不可能に、監視と弾圧を強める中国

観光客でにぎわう中国・北京の天安門広場の頭上に設置された監視カメラ(2019年4月2日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News

 米中貿易戦争の先が見えず、世界各国が不安を感じている。

 その中ではっきりしているのは、この問題が単なる通商貿易上の問題ではなく、特に米国側で、国家の安全保障を脅かす深刻な問題だと受け止められていることである。

 昨年10月のマイク・ペンス副大統領のハドソン研究所におけるスピーチで述べられた通り、ドナルド・トランプ政権は中国に対して、経済と安全保障を不可分のものとして強硬な姿勢で臨むことを明確にしている。

 この点は現在の米国において民主党も含めた超党派的な共通の立場になりつつある。

 中国は違法な手段も駆使して米国などから最先端の技術情報を吸い取り、それを基盤に急速に経済を発展させ、今後の世界において米国に優るハイテク覇権を獲得することを目指している。

 これを看過すれば、民主主義をないがしろにした強権国家が世界中で影響力をほしいままにするという悪夢を招くことになるという認識である。

 このような米国の認識は、日本にとっても決して他人事ではない。

 日本として中国の現状をどのように捉え、安全保障面ならびに経済面で、中国のハイテク覇権追求の動きにどのように対応していくべきか、今、その舵取りが極めて重要な局面を迎えている。

 この対応には表面的な感情論に流されることなく、今何が問題なのかを事実に基づいて冷静に認識し、個々の論点に対する具体策を考えることが重要である。

 以下、そのような観点から、米国および日本にとって、中国のハイテク覇権追求が持つ問題を、次の3つの論点に分けて考察していきたいと思う。