*写真はイメージ

 スマートフォンの世帯保有率は2010年から上昇を続け、2016年にはパソコン、固定電話の保有率を抜き、2019年には83.4%となった。モバイル端末全体の保有率の中でも7割弱を占めている(総務省「通信利用動向調査」より)。スマホならではの便利なアプリやコンテンツも多く、われわれの日常生活にも、緊急事態の備えにもなくてはならないライフラインの一つになっていると言えるだろう。

「スマホは目で見るもの」と健常者たちは思いがちだが、音声入力や読み上げ機能をはじめ、視覚に障害のある人の生活を便利にしてくれるアプリやガジェットが多く登場している。特に「ロービジョン」とカテゴライズされる、見えないわけではないが矯正ができず、日常生活を送る上で支障が多い視覚障害者にとっては、スマホなどのデジタル技術は新たな助けとなりつつある。

視覚障害者向けのアプリやガジェットが続々と登場

 2019年、視覚障害者が外出する際に欠かせない白杖(はくじょう)にデバイスを取り付けることで、音声案内や振動などを通じて視覚障害者の歩行をサポートする「WeWALK」が発売された。この“スマート白杖”は、使用者の胸より上にある障害物を感知する機能がある他に、専用アプリを入れたスマホとBluetoothで連携し、白杖のデバイスでスマホを操作することもできる。地図アプリを操作すれば音声による道案内も可能で、安全に一人で外出できる可能性が広がるという。

WeWALKのウェブサイトより(https://wewalk.io/en/

 同年12月、Microsoftが視覚障害者向けトーキングカメラアプリ「Seeing AI」の日本での無料提供を開始した。アプリを起動してスマートフォンを目的物にかざすと、クラウドAIを介して瞬時に画像を解析して文章化するものだ。現在は短いテキストや書面、目の前にある風景や人、物体の色や電気の点灯状態、硬貨や紙幣の判別に対応している。

参考:マイクロソフト「Seeing AI」ページ https://www.microsoft.com/ja-jp/ai/seeing-ai