香港の人民解放軍・海軍基地の公開日に国旗掲揚式のために行進する解放軍のメンバー(写真:ロイター/アフロ)

(平井 宏治:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・株式会社アシスト代表取締役)

 中国では、大学が兵器の研究開発で重要な役割を担う。中国共産党人民解放軍(以下、中国軍)と直接、軍事技術開発契約を締結して、機密度の高い兵器などの開発や製造の一端を担うのが、北京航空航天大学、ハルビン工業大学、北京理工大学、ハルビン工程大学、南京航空航天大学、南京理工大学、西北工業大学だ。これら7校は国防七校と呼ばれ、国務院に属する工業・情報化部の国防科技工業局により直接管理されている。

 国防七校の学生が、米国や日本の大学に留学をしている。また、中国軍の軍関係者も留学生になりすまして米国や日本の大学で研究をしている。彼らが、米国由来や日本由来の軍民両用技術を帰国後に軍事転用している疑惑が明らかになり、米国は本格的に取締に乗り出している。

大学経由の機微技術流出阻止に動く米国

 米国で、昨年(2019年)12月、2020年度国防権限法が成立し、学会経由の機微技術流出対策が強化された。

 ・軍事研究に関係する組織や軍事研究に深く関わる大学
 ・軍事研究のための専門家の招聘、軍事研究に関わる経歴の隠蔽への関与で知られる組織
 ・軍事的技術の無形技術移転に著しいリスクをもたらす組織

 同法では、これらの軍・諜報機関の指示下にある、又は不適切な技術移転の深刻なリスクのある中露等の大学・研究機関のリストの作成・更新義務が規定され、監視の目が強化された。