(岩田太郎:在米ジャーナリスト)
※「中国切腹日本介錯論」(1)「大日本帝国」と同じ轍を踏む習近平と中国共産党、(2)中国が先制攻撃を仕掛ける可能性が高いワケ、(3)仮面を捨てた中国、世界を自分色に染めるそのやり方、(4)習近平の中国がなぞる大東亜共栄圏の「失敗の本質」、(5)「一帯一路共栄圏」の民心掌握に失敗する中国の末路も併せてお読みください。
近い将来、起こりうる中国の侵略戦争
今日の日本は、戦前の対中侵略と、その究極の結末である大東亜戦争の惨敗が生み出した多くの矛盾や縛りに抑圧され、戦後75年の長きにわたってあえいでいる。
主なものだけでも、真の独立や国家理念の喪失、敗戦憲法の欠陥に起因する諸問題、もつれた外交・歴史・産業・資源の問題など、現行の枠組みの中では容易には変えられない厳しい現実が立ちはだかる。
こうした無力な現状は立法や選挙、外国との交渉・条約でも変えることが難しい。そのため、暴力的なガラガラポン、つまり「現在ある体制を壊して仕切り直す」「白紙に戻す」「一から作り直す」といった出来事がなければ改まらないと考えられる。その意味において、将来起こる可能性がある戦争はリセットボタンを押すガラガラポンのイベントとなり得る。
もちろん、日本は憲法上戦争を仕掛けることはできないし、先の大戦で生き残った日本人はわれわれに対して、異口同音に「戦争だけはしてはいけない」と口を酸っぱくして教えてきた。屈辱的で悲痛な戦争の惨禍は、日本人の心に深く焼き付いている。そのため、日本はこれからも自国領土防衛に徹するだろう。
しかし、どれだけ日本が戦争を回避したくとも、近未来に戦争に巻き込まれる可能性は低くない。これまでの連載で見てきたように、中国共産党中央軍事委員会の習近平主席が「中華民族の偉大な復興」という覇権的スローガンを掲げ、アジア各地で漢人支配の軍事的な拡大を狙っているからだ。
日本の平和現状維持への努力にもかかわらず中国の侵略が不可避であるならば、中国共産党が仕掛けてくる戦争を最大限に活用し、日本が簡単に直せない矛盾や問題の解決に役立てることは、わが国の新生のために意義のあることではないだろうか。
本稿においては、中国の侵略が日本にとっての「ショック療法」となり、米中が共に認める「攻めても勝つことができない」日本の誕生につながり、真の独立達成のきっかけとなり得ると予想する。