財政健全化よりも経済再生を優先

 財政については、3者ともそれぞれに掲げるスタンスが、必ずしも一貫しませんでした。いずれは痛みを伴う財政再建が必要と認識しつつも、総裁選を戦う上で主張しづらいという事情があったためでしょう。

 菅首相は、パンフレットに「財政健全化」等の文字を記載せず、まずは経済再生を図るべきと主張しましたが、一方で社会保障財源確保のために将来的に消費増税が必要とも明言しました。ただ、増税が必要との発言が注目された翌日には、今後10年増税が必要ないとも言及しています。総合すれば、中長期的には財政規律が重要と考えつつも、短期的には経済再生を優先するとの立場を示したと言えるでしょう。

 一方、岸田前政調会長は「財政健全化」、石破元幹事長は「財政規律」とパンフレットに明記しましたが、どう実現を図るかの手段はやや曖昧でした。岸田前政調会長は消費税を下げるべきではないと主張しましたが、上げるべきとまでは述べませんでした。石破元幹事長は、一時、「消費税の果たすべき役割を検証する」と述べ、減税を示唆していました。

 いずれにせよ、コロナ禍に直面する下では、財政再建よりも経済再生を優先する必要があります。公的債務の膨張を少しでも抑えるべく、政治もしくは政府サイドから日銀に対し、低金利政策長期継続への期待がかかりやすい状況です。