石破茂氏(9月12日、自民党総裁選の討論会で、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 コロナ危機が高まっていた「3月下旬から『自粛要請』を主導したのは東京都の小池百合子知事だった」(「朝日、NHKも踊った 小池都知事の“情報操作”」(『Hanada』2020年8月号)、とインファクト共同編集長の楊井人文氏は言う。

 確かに6月頃までの焦点は東京の感染者問題であり、小池都知事であった。入院者の積み上げから退院者が差し引かれず、医療崩壊ばかりが声高に叫ばれていた。

 そして今は安倍晋三首相の辞任表明による後継総裁選びが始まり、「全国の党員参加なしでいいのか、民主主義が問われている」と、独特の口調で瞬き一つせず国民に問いかける石破茂元幹事長である。

 この2人にはいくつもの共通点が見られる。拠って立つ政党(党首)の支持が薄れると素早く離党し、新たな政党(有力者)に乗り換え、また大臣や党の要職を預かりながら、職務に専念するどころか信頼失墜も厭わない自己アピールなどである。

 共に防衛大臣経験者であるが、ことと次第によっては「自分の命、家庭を犠牲にして」も国家・国民を守るという自衛隊の指揮官として相応しかったのだろうかという疑問が湧いた。

 以下2人の経歴を概観して、防衛大臣のあるべき姿を描きたい。

小池氏は「政界渡り鳥」

 4年前の都知事選では7つのゼロを公約してトップ当選した。しかし、当初の2年は豊洲市場移転とオリンピック問題でちゃぶ台返しをやり、今年はコロナ問題対処に明け暮れ、都民と行った約束のほとんどが果たされていないといわれる。

 都庁の部課長からは「自分をよく見せることしか考えていない」「知事のワガママや思い込みで手戻りになる事例が多すぎる」「彼女がいることで都政が受けるダメージは計り知れず・・・知事不在の方がマシ」とまで言われる状況である(後藤貴智「都知事小池百合子、職員の採点は歴代最低」、前掲誌)。

 筆者が切歯扼腕したのはあどけない字の手紙を残して亡くなった結愛(ゆあ)ちゃん事件で、知事があまりにも他人事のようにしか思っていないことを知ったときであった。

 虐待が香川県善通寺市で発覚して1年余後の2018年1月、船戸一家は東京に転居。情報は品川児童相談所に通知され、同児相は2月9日に家庭訪問するが、母親が「娘は不在」と言い張り面会は叶わなかった。