選挙資金を効率よく集金し、TV広告をどの州で何本流すのか、キャンバシング(戸別訪問)をどの時期にどれだけ行うのか、さらに候補をどのタイミングでどの都市で遊説させるのかなど、すべてが選対本部長の判断に任されている。

 1992年にビル・クリントン大統領が誕生した時のジェームズ・カービル選対本部長から、2016年のトランプ氏当選時のケリーアン・コンウェイ選対本部長(現大統領顧問)に至るまで、大統領になった候補たちには有能な人物がついていた。

 稀有なまでに優れた選対本部長でないと大統領選には勝てないというのが筆者の思いであり、候補の人柄や政策も重要だが、選対本部長の優劣によっても結果に差が出てくる。

細部を決して見落とさない

 選対本部長によっては放送メディアに積極的に登場し、候補の擁護だけでなく政策の説明や対立候補の批判までする人もいる。

 だがスティーピエン氏は表に出ることを好まず、目に見えないところで綿密に計算して着実に自分の仕事をするタイプだ。

 前出のクリス・クリスティー氏はいまでも同氏の選挙参謀としての能力を高く買っている。

「彼が選挙を取り仕切っている限り、重要な事柄が網からこぼれ落ちるということはないです。細部を見落とすことがないからです」

 その言葉を裏づけるように、スティーピエン氏はいま全米50州で、トランプ氏が獲得できる票を極めて詳細に計算している。

 トランプ氏が4年前に獲った州はもちろん、民主党のホームとも言えるニューハンプシャー州、さらにネバダ州やメイン州さえも奪う目論見だという。