米民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)がカマラ・ハリス上院議員(55)を副大統領候補に指名したことで、大統領選はいよいよ佳境に入る。
ただハリス氏の選択は、過去の大統領選の事例と比べると異質なものと言わざるを得ない。
さらに、ハリス氏を選んだことでバイデン氏が民主党代表候補になってから進めてきた「静かな選挙戦略」が壊れ始めてもいる。
バイデン氏はそれを認識したうえで、本当にハリス氏を適任者として選んだのか。本稿ではこの2点について詳述していきたい。
まずハリス氏の指名は過去20年間、民主党大統領候補が選んできた副大統領候補とはいささか趣が違う。
というのも民主党ではこれまで候補とは違う考え方の人物、党内的には穏健派を指名する流れがあった。
2000年の大統領選でアルバート・ゴア候補が指名したのは自分よりも穏健なジョー・リーバーマン上院議員だったし、2004年にはジョン・ケリー候補もハト派といえるジョン・エドワーズ上院議員を指名した。
そして2008年、バラク・オバマ氏は穏健派の代表ともいえるバイデン氏を選択。
また前回2016年選挙でもヒラリー・クリントン氏は、「目立たない人物」と形容できるほどのティム・ケイン上院議員を指名している。
副大統領の選考にルールがあるわけではないが、少なくとも過去20年間、落ち着いた穏健派が民主党の副大統領候補に指名されている。