西村康稔・内閣府特命担当大臣(写真:ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 東京都の新型コロナウイルス感染者は、8月18日が207人、19日が186人、20日が339人、21日が258人と高止まりのままである。東京都のみならず、神奈川県、埼玉県、千葉県を含む首都圏、大阪府、兵庫県、愛知県、福岡県などの大都市をかかえる府県、また観光地の沖縄県でも感染者が急増しており、日本列島各地で感染が再拡大している。

 19日には、感染症学会理事長も「日本は第二波の真っ只中」と表明した。今更ですかと言いたくなるが、この第二波の拡大は、私が指摘するように、コロナ対策では日本が「アジアの劣等生」になっていることを意味する。

(参考記事:コロナ対策、日本は完全に「アジアの劣等生」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61620

 世界から見て、アジアの中で日本が「最も危険な国」の一つであり、渡航は勧められないゾーンとなっている。毎年、秋には大学での講義やAI・5Gなど先端技術の視察に中国を訪問するが、今年は全く目処が立っていない。半年前は、日本人が中国訪問を忌避していたが、今は、中国人が日本から客人を迎えるのを拒否している。

アジアで日本より酷い状況なのはフィリピンとインドネシアくらい

 20日現在で、アジアのコロナ感染者数・死者数を見ると、日本が6万33人・1160人であり、それよりも酷いのはフィリピン(人口1億960万人)の17万3744人・2795人とインドネシア(人口2億7352万人)の14万4945人・6346人くらいである。中国が8万4895人・4634人、韓国が1万6346人・307人、タイが3382人・58人、ベトナムが994人・25人、台湾が486人・7人であり、人口当たりで比較すると、日本がいかに劣等生であるかがよく分かる。

 第一波が中国から到来したときには、震源地である武漢の惨状が伝えられていたにも関わらず、すべて対岸の火事といったような雰囲気で、水際対策を徹底する対策は講じられなかった。観光、インバウンドへの期待もあって、春節で訪日する中国人に規制をかけなかったのである。

 ところが、2月3日に横浜に帰港したダイヤモンド・プリンセス号の乗客、乗員に大量のコロナ患者が発生してしまった。そのときの日本政府の対応の酷さは内外の厳しい批判に晒された。

 しかし、それでもまだ、国内の感染者があまり増えないことから、市中感染という事態は念頭に置かず、クラスター潰しに全力を上げた。濃厚接触者の数が限られていたこともあって、これは一定の成功を収めた。これで、「クラスター潰しこそ“日本モデル”」だとして、自画自賛するとともに、世界からも称賛された。

 このときに脚光を浴びたのが、厚労省のクラスター対策班であり、感染予想の数理モデルを提示した西浦教授であった。

 しかも、2月後半からイタリア北部を中心に新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、それは周辺のフランス、ドイツ、スペインなどの欧州諸国に伝播していった。とくに、致死率が高く、多くの死者が出て、医療崩壊を来すほどになったのである。

 そのヨーロッパの惨状が伝えられると、日本の死者の数が限られていることに注目が集まり、相対的に日本の評価が高まるという結果になっていった。アメリカでも、3月になって、カリフォルニア州やニューヨーク州で非常事態宣言が発令されるなど、感染が拡大していき、日本のメディアも欧米の感染状況を大きく報道するようになったので、ますます日本の優等生ぶりに注目が集まるようになった。たとえば、その要因としてBCG接種を取り上げたり、きれい好きの日本人の生活習慣がもてはやされたりした。

 しかし、今でもそれらの説が正しいのか否かは不明である。逆に、第二波の感染が拡大し、アジアの劣等生になってしまうと、今度は、なぜ日本だけがアジアで酷い状態なのかという問いを発せねばならなくなる。土足で室内に入らないといった日本人の生活習慣が変わったわけではないからである。