8月28日、官邸で辞任表明会見に臨む安倍晋三首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 8月28日、安倍首相は、17時から記者会見し、持病の悪化を理由に辞任を表明した。

 13年前の同じようなシーンを思い出す。2007年9月12日、第一次安倍改造内閣で厚労大臣に任命されたばかりだった私は、首相官邸で与謝野馨官房長官と二人で昼食をとりながら、国会対応など、政策の打ち合わせをしていた。昼食後、われわれは衆院へ移動し、閣僚待機室で1時から始まる本会議の準備をしていた。

 しかし、10分前になっても予鈴も鳴らないし、本会議も開かれない。「おそらく議会運営委員会で与野党が対立して、開会が遅れているのだろう」と思っていた。そこに突然「安倍首相辞任」の報が入ってきたのである。

 官房長官の与謝野さんすら知らなかったことで、全閣僚が驚愕した。安倍首相の病状、そして辞任について事前に知っていたのは、麻生幹事長のみであった。潰瘍性大腸炎の悪化が原因であった。

顔つきから消えた覇気

 潰瘍性大腸炎については、その後、アスナールという特効薬が開発された。これによって辞任後の安倍さんの体調も好転して、2012年12月には民主党から政権を奪還。自らの政権を長期化させることに成功したのである。

 しかし、この7月頃からの安倍首相の顔つきや歩き方を見ていると、13年前のことを思い出さざるをえなかった。何よりも覇気が感じられないことが気にかかっていた。やはり持病が悪化していたのであろう。