昔は≪千三つ≫という言葉がありました。

 千本掘って3本当たれば大当たりという象徴的な意味ですが、今では掘削費が高くなり、千本掘っている間に会社が潰れてしまいます。

 現在では、感覚として≪十三つ≫程度でしょうか。

 試掘井を掘削して油兆・ガス兆がない場合、その井戸を空井戸(dry hole)と言います。空井戸ですと、この段階で事業者はプロジェクトから撤退します(試掘井を複数掘る場合もあります)。

 試掘井で油兆・ガス兆が発見された場合、その層がどの程度の厚みと拡がりがあるのかを評価する第2段階に移行します。この第2段階では複数の評価井を掘削します。

 評価井を掘削すると確認埋蔵量が出ます。この段階で、事業者は本格的にプロジェクトを推進するか、撤退するか決断します(専門用語では“最終投資決定”と言います)。

 油価・ガス価格が低くて、この埋蔵量ではプロジェクトが赤字になると判断すれば、掘削した井戸を廃坑にして撤退します。

 埋蔵量と油価からプロジェクトに経済性があると判断すると、本格的な開発・生産段階に入ります。これが第3段階です。

 陸上鉱区では生産井を多数掘削して、各油井から原油集積所・処理工場までフィールド・パイプラインを建設します。

 陸上処理施設では、地下から採取された不純物のたくさん入った原油から不純物を除去します。ちなみに、不純物の代表格が水です。

 1次処理された原油は原油パイプラインやタンカーで輸送・輸出されます。

 海洋鉱区の場合、試掘井と評価井は掘削リグで掘削します。

 第3段階に入ると鉱区選定後、海洋プラットフォームを沖合に据え付け固定し、プラットフォームから生産井を掘削します。

 プラットフォームから沿岸の陸上処理施設までは海底パイプラインを建設して、採取された原油を輸送し、陸上処理施設で1次処理します(天然ガスも同様)。

 付言すれば、掘削リグは動産、プラットフォームは不動産です。