エピローグ/日本は産油国になれるか?

 今回の茨城沖合の報道は、第1段階最初の調査段階です。テレビ報道では沖合10~50キロの地点に鉱区があるかもしれないと報じていましたが、本当に鉱区があるのかどうか現段階では不明です。

 天然ガスが発見されたとの報道ですが、もし天然ガスであれば、海底油田よりも海底ガス田の可能性の方が高いはずですが、なぜかテレビ解説では海底油田と説明していました。

 海洋鉱区の場合、海洋掘削リグを現場に据え付け、試掘井の掘削が必要です。現場は風光明媚な景勝地ゆえ、必ず環境問題と漁業補償問題が出てくるでしょう。

 沿岸に掘削リグを据え付けて、傾斜掘り・水平掘りも可能ですが、風光明媚な地に大型陸上掘削リグを据え付けることに対し、やはり地元では反対運動が起こるでしょう。

 試掘井の結果、仮に油兆・ガス兆があった場合、複数の評価井の掘削が必要になり、その後プロジェクトを生産段階に移行するかどうかの最終決定が必要になります。この時点での撤退もあり得ます。

 海洋鉱区の掘削作業はコストが高くなります。

 ある国際石油会社はカスピ海で1本の試掘井に1億ドル以上かけて掘削しましたが空井戸で、そのプロジェクトから撤退しました。

 日本では掘削費以外、環境対策費・漁業補償費も含め、実際に開発段階に移行する場合、全体経費1兆円では足りないでしょう。

 日本の原油輸入量は1973年の第1次石油ショック以来、一貫して減少しています。

 日本では石油需要は減少し、代わりにガス需要は増えていましたが、近年ではガス需要も減少しています。