可採年数とは?

 ここでもう一つ、別の概念である≪可採年数≫に言及します。

 筆者が中学生のとき、「石油はあと40年でなくなる」と学校で教わりました。

 その40年後には「石油はあと40年でなくなる」と言われ、今後40年後も恐らく「あと40年で石油はなくなる」と言われることでしょう。

 可採年数とは、確認可採埋蔵量を1年間の採取量で割った年数です。ですから、新規に発見された確認可採埋蔵量とその1年間で採取された原油の量が同じであれば、≪可採年数≫は変わりません。

 新規発見量の方が生産量より多ければ、可採年数は増えます(逆も真なり)。

 現在では、むしろ可採年数は増える傾向にあります。

探鉱・開発とは何か?

 次に、探鉱・開発とは何か述べてみたいと思います。

 油田・ガス田の探鉱・開発は以下3段階に大別されます。

①事前調査段階(試掘井)
②評価段階(評価井)
③開発段階(生産井)

 全体のスケジュール感ですが、大体それぞれ5年間、計15年程度になります。

 テレビ報道では30年間かかると言っておりましたが、最初の生産物が採取されるまで30年間もかかれば、その間に民間企業は倒産してしまいます。

 もちろん、実際に30年間要したプロジェクトもありますが、それは例外中の例外です。

 第1段階の事前調査とは、地質・地形の調査です。陸上鉱区の場合、地震探鉱を行います。

 一直線上に違う深さの穴を掘り、ダイナマイトを仕かけて爆発させ、戻ってくる地震波で地下の層がどんな形をしているか推測します。

 海洋鉱区の場合、火薬を爆発させれば環境問題が発生しますので、調査船から海底に向け超音波を発射して海底の地形を調査します(余談ですが、この時に潜水艦が映る場合もあります)。

 地下の層がどのような形をしているかにより、経験則として石油・ガスがありそうだなと推測できる場合、試掘井を掘削します(試し掘り)。

 ありそうだなと思っても、実際に何かあるのか・ないのか、あるとすれば何があるのかは、実際に試掘井を掘削しないと分かりません。

 ほとんどの場合、石や砂利や砂や水ばかりで、油兆・ガス兆はありません。

 油田であると期待して試掘井を掘ったらガス田であった、という事例も多々あります。技術が進んでいる今日でも、地下数千メートルに何があるのかは実際に井戸を掘ってみないと分からないのが実態です。