打ち上げ花火のように、ときには英語を交えたスローガンを叫び、マスコミの注目を集め、有権者がすぐに忘れることを見越して、何の成果も出さないどころか、マイナスが生じても頬被りする。それが小池流の政治である。4年前の都知事就任以来の行動を振り返っても、そのことは明白である。「言語明瞭、意味不明瞭、責任はとらず」である。

 中央卸売市場を築地から豊洲に移転する決定に対して、「移転先の豊洲市場は危険だ」と難癖をつけ、「安全だが安心ではない」などという意味不明な言葉を発したのである。豊洲市場では、地下水は一切使用せず、都水道局が「おいしい水」と誇る上水道を使っているのに、「地下と地上は切り離すことができない」と煽った。

 ヒトラー顔負けのデマゴーグである。彼女が引き起こしたこの大騒ぎの結果、豊洲市場の開場が2年も遅れてしまい、多額の損失を生んでいる。東京五輪施設の見直しも、たとえば、長沼ボート場を持つ宮城県を糠喜びさせただけで、何の成果も出せないで終わっている。

 これが小池デマゴギーであるのに、マスコミは、その問題点を指摘するどころか、率先してそのお先棒を担いでいる。そして、反省もせずに、今もまだ、その姿勢を維持し続けている。

あまりに空疎な東京都のコロナ対策

 五輪競技施設は、組織委員会の森会長と都知事の私とで、徹底的な見直しを既に行っていたのであるが、そのような苦労など無視して、2016年7月の都知事選挙では、「1兆、2兆、3兆ってお豆腐屋さんじゃないんですよ!」と叫び、五輪費用の高騰を批判したのである。そして、都知事就任後に競技施設の見直しというパフォーマンスを始めたのだが、何も変えることはできなかった。

 IOCがマラソンと競歩の会場の札幌移転を決めたときも、開催都市のトップであるにもかかわらず、小池都知事は蚊帳の外に置かれ、「合意なき決定」などという捨て台詞を発したのみであった。

 新型コロナウイルス感染への対応についても、言葉の遊びが続いていることは先述した通りである。政府は5月25日に緊急事態宣言を解除したが、東京都も解除戦略として「ロードマップ」なるものを公表した。また、英語である。いったん解除したものの、6月2日になって、都の感染者が34人に増えたとして、小池都知事は「東京アラート」なるものを発令した。これまた、大好きな横文字である。

 この「東京アラート」は6月11日に解除され、翌日には小池都知事は再選を目指して都知事選立候補を表明した。結局、「東京アラート」は何の意味があったのだろうか。通天閣を警告信号色で染めた吉村大阪府知事に対抗して、都庁やレインボーブリッジを赤く染め、自分の人気を高めるための道具として使ったのである。

 実際に、6月12日以降は、それ以前に比べ、感染者が倍増している。6月12〜25日の2週間の感染者数は500人で、5月29〜6月11日の2週間の252人の倍になっているのである。

 新型コロナウイルスは潜伏期間が長いので、感染してから発症まで1〜2週間はかかる。つまり、「東京アラート」を発動した6月2日以降に感染した人は、解除した11日以降に発症して検査で判明するので、「東京アラート」は都民に対して警戒の意味は何もなかったことになる。6月24日には55人にまで増加しているのである。

 ところが、11日に、小池都知事は、感染が落ち着いたと判断したから「東京アラート」を解除したとして、「アラートの役目を果たした」と評価し、「これからは自らの力で守る自衛の時代。自粛から自衛の局面だ」と述べたのである。まさに無責任の極みであり、「自衛」に頼るのなら、行政は不要である。

 このような小池都知事の空虚な言葉の遊びが続くならば、コロナ対策のみならず、これからの都政の先行きに明るい光は見えてこない。

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