国が小池都知事の人気取り目当ての言葉やパフォーマンスに悩まされ、足を引っ張られたのは、今回が初めてではない。

 3月23日、世界の深刻なコロナ感染状況に鑑み、安倍首相は東京五輪を延期することを容認した。それまで感染者数の発表も事務方任せにしていた小池都知事は、首相発言の2時間後に急遽記者会見を開き、コロナ感染拡大への危機感を煽り、「ロックダウン(都市封鎖)」という強力な措置を執らざるをえない」とか「今後3週間がオーバーシュート(患者の爆発的急増)への分かれ道」とかいう言葉を並びたてたのである。いつもの横文字を使って耳目を引くパフォーマンスである。

 その翌日、24日には、IOCのバッハ会長と安倍首相の電話会談で東京五輪の延期が決まるが、翌日の25日夜、小池都知事は緊急に記者会見を開き、「感染爆発 重大局面」と記したフリップを掲げてロックダウンの可能性に言及し、夜間や週末の不要不急の外出自粛を都民に要請した。

 この会見の影響で、東京のスーパーでは買い占め騒ぎが起こり、パニック状態になってしまった。

「政府が無策なのに、都知事はしっかりと政策を打ち出しており、優れたリーダーシップを発揮している」と言わんばかりの演出だったが、実は、政府は緊急事態宣言を発令する準備を進めていたのである。

 日本では、欧米のようなロックダウンは法的に定められておらず、実現不可能なのであるが、小池都知事の「ロックダウン発言」で、緊急事態宣言がロックダウンだと国民は誤解してしまった。

小池氏のパフォーマンスのため緊急事態宣言が先送りに

 小池都知事の横文字マニアが招いたとんでもない誤解だが、都内のスーパーでは商品が棚から消えてしまった。何とも罪作りなパフォーマンスであり、この騒動のあおりを食らって、政府は、当初3月末に予定していた緊急事態宣言を4月7日まで待つことになってしまった。この遅れが、どのようなマイナスをもたらしたかは周知の通りである。

 さらには、宣言による休業要請をできるだけ少ない数の業界に制限したい政府に対して、小池都知事は居酒屋や理容店なども対象にする案を主張し、“感染防止のジャンヌ・ダルク”といったイメージを作ろうとした。そして、国との間で猛烈な綱引き合戦を演じるが、全ては、自分の人気と支持率をアップするためであった。