しかし、グラム染色は病原体が見つからず、いつまで経っても治らない、あるいは急激に肺全体に炎症が広がるなど、特有の症状がみられたときには「PCR検査」が登場することになります。

 先ほど、肺炎菌の場合は「培地」で培養して増やさないと、確認することができない、と記しました。

 しかし、コロナウイルスはさらに見つけることが困難です。まず大きさが小さい。直径100ナノメートル=0.1ミクロンで、そもそも普通の顕微鏡で見える大きさではない。

 さらに「染色」などもできませんから「姿の見えない病原体」ということになる。

 極微のウイルスが1個、2個あったとしても、私たちはそれを確認することができない。目視などできないのは当然ですし、あまりに数が少ないと、存在自体が不明確なので、少し増やしてやらないと話が始まりません。

 しかし、ここで困ったことに、ウイルスは、仮に培地に植えつけても勝手には増えてくれないのです。

 ウイルスというのは、遺伝情報だけがカプセルに入った、生命と非生命の境にあるような存在で、生き物に感染し、宿主の細胞を工場代わりに使って増えていく非常に質の悪い増殖の仕方をします。

 かつては、何らかの実験動物に感染させ、可哀そうですがその動物をウイルス性の病気にすることで数を増やし、検査に引っかかる程度まで数を増やしてからチェックしていました。

 このような状況を一変させた、ノーベル賞級の大業績、それがPCR検査法の発明だったのです。