その方のケースは、結局「マイコプラズマ肺炎」であったことが判明し、無事に快癒、退院することができました。

 ではまずこの「マイコプラズマ肺炎」は、どうやって検査すれば分かるのかから考えてみます。マイコプラズマ肺炎の診断には「PCR検査」は使いません。

 検査医師は患者から適切な形で「検体」を採取したのち、適切な「培地」に移します。そこで培養して増やさないと、あまりに少量では正確な判定ができないからです。

 そうやって培養した検体疫を「グラム染色」という方法で検査します。

 19世紀デンマークの医師ハンス・グラムが開発した方法で、ヨウ素やフェノール、それに「クリスタルバイオレット」という色素などを用いることで、肺炎の病原体が鮮やかに染色され、顕微鏡で観察できるようになるのです。

 マイコプラズマ肺炎菌は「グラム陰性菌」と呼ばれ、この方法で染色すると赤く染まる性質があります。

 グラム染色は21世紀の今日でも標準的な方法で、知り合いのご家族もこの検査を受け、病源体が確定、適切な抗生物質を投与されて全快することができたものと思います。

ウイルスは自ら増殖しない

 もし身近な誰かが、あるいはあなたご自身が風邪っぽい、あるいは気管支炎気味であるといった場合、最初に講じるべき措置は常識的な対処法で、休息し、栄養を取り、売薬あるいはホームドクターに受診して適切な投薬を受けて経過を見ることになるでしょう。

 しかし、どうも経過が思わしくないという段になって、初めて「検査してみましょう」ということになる。

 でも、最初にそこで行われるのはグラム染色検査のような一般的なもので、決していきなりPCRとはなりません。

 先ほどのマイコプラズマ肺炎を引き起こす肺炎菌は0.1~0.5ミクロン程度で、光学顕微鏡で見ることができる最小の大きさ(約0.2ミクロン)程度、染色した結果これが見つかれば、普通の肺炎ですねということになり、抗生物質が処方されます。