香港問題:先進国の批判と世界の分裂
6月30日、中国の全人代(全国人民代表大会、日本の国会に相当)常務委員会が香港国家安全維持法(以下、国安法)案を可決し、即日施行した。
翌7月1日、香港でこの法律に対する抗議運動が広がり、370人が逮捕され、うち10人が国安法に違反した疑いがあるとされたと報じられた。
これに先立つ6月18日、日米欧主要7か国G7の外相は次のような共同声明(外務省HPからの抜粋)を発表し、中国政府に対して国安法の再考を強く求めた。
「提案されている国家安全法は,「一国二制度」の原則や香港の高度の自治を深刻に損なうおそれがある」
「(中略)この行動が法の支配や独立した司法システムの存在により保護されるすべての人民の基本的権利や自由を抑制し,脅かすことになると著しい懸念を有する」
「我々は中国政府がこの決定を再考するよう強く求める」
中国政府が国安法を施行した翌日の7月1日には、日英独仏など27か国が国連人権理事会の会合で中国に対して国安法の再検討を求める共同声明を発表した。
しかし、同会合において、キューバなど53か国が国安法に関して中国への支持を表明し、国際社会は香港問題への対応を巡り分裂している。
この間、米国ドナルド・トランプ政権では、6月29日、マイク・ポンペオ国務長官が、これまで香港に認めてきた優遇措置の一部停止を発表した。