中国が整備してきた社会インフラは「新しい生活様式」の参考になる点が多い。写真は上海

新生活様式に必要な社会インフラ整備

 新型コロナウイルスとの戦いが長期戦となることを前提に、日本政府は非接触型の日常生活を定着させるため、「新しい生活様式」を提唱している。

「新しい生活様式」では、マスクの着用、手洗いの励行、買い物・運動・勤務などでの周囲の人との一定の距離の確保、時差出勤や徒歩・自転車による通勤・通学など各人の努力が求められている。

 その一方、各人の努力だけでは難しいこともある。

 買い物における通販の利用や電子決済、飲食時のデリバリー利用、テレワークやオンライン会議を前提とした働き方などの定着の促進である。

 全国民がこれらの「新しい生活様式」へとスムーズに移行していくためには、それを支える社会インフラの整備が必要である。

 その最も基本的な条件はスマホとパソコンが国民各層に1人1台ずつ普及することであろう。

 通販、飲食のデリバリー、電子決済などにはスマホが不可欠である。テレワークとオンライン会議にはパソコンまたはタブレット端末が必要である。

 加えて、それらの通信機器を全国どこでも安心して使える通信ネットワークの整備も重要である。

 最近は在宅勤務でオンライン会議を通じたコミュニケーションが急速に増えているが、会話中に画像や音声が途切れてしまうことがしばしばあり、不便を感じることが多い。

 これでは業務上の会議・面談や学校教育で常時活用するには不十分である。

 スマホ、パソコンなどの通信機器が国民全体に行き渡り、通信上の不便が解消することが「新しい生活様式」の出発点だ。

 その上で、日常生活に必要な各種サービスの円滑な運用を支える経済社会システム、それと連動するアプリ等のソフトウエアの開発・拡充がついてくれば、日本全国で「新しい生活様式」への移行が本格的に進み始めるようになる。