タイには敬虔な仏教徒が多い

1.世界秩序の不安定化と新たな解決策の模索

「われわれ連合国の人民は、(中略)国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的および社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した」

 これは国連憲章の序文の一部抜粋である。世界中の国々が国連に加盟し、この基本的な考え方を受諾している。

 しかし、実際には毎年のように世界のどこかで共同の利益とは言えない目的で武力が用いられ衝突が起きている。

 最近は世界秩序の安定確保をリードしてきた米国自身が「アメリカ・ファースト」を唱え、単独で武力行使を行っている。

 これらは明らかに国連憲章に定められた内容に反している。すなわち、国家間の合意に基づくルールが守られない状況が常態化しているのである。

 国連のように多数の国家が加盟する組織では経済発展レベルや社会環境に関する国家間のばらつきが多いため、どの国にも当てはまる共通ルールを定めることが難しいのはある程度やむを得ない。

 しかし、G20という限られた国の間でも合意形成が難しいほか、先進主要国だけからなるG7ですら共同声明をまとめることが難しくなっている。

 1648年のウェストファリア条約以降、世界秩序形成の大前提は国家間の取り決めにより国際的な組織・枠組みを設立し、そこで定めるルールを遵守することに基づいている。

 しかし、最近は上述のように、グローバル社会が直面する問題を解決するための有効なルールを定めること自体が難しいうえ、定められたルールが無視されることも多い。

 これでは世界秩序の安定確保が難しいのは明白である。