上海の高層ビル群。高度経済成長の副産物でスモッグがかかる日も多い

1.今後数年間は高度成長期の最終局面

 10月18日に中国の国家統計局が発表した第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年比+6.0%と、1992年の四半期データ公表開始以来最低の伸び率となった。

 通年ベースでは1978年の改革開放後に6%を割ったのは81年(同+5.1%)、89年(同+4.2%)、90年(同+3.9%)の3か年のみである。

 しかも、89、90年は天安門事件の影響で、政治的要因から経済が停滞したという特殊事情があった。

 今年のGDP成長率は、第1四半期同+6.4%、第2四半期同+6.2%、第3四半期同+6.0%と期を追って低下傾向を辿ってきており、通年では同+6.1~6.2%に着地すると見られている(第4四半期は同+6.0%と前期と同じ伸び率を保つ見通し)。

 来年もこの減速傾向が続き、通年で同+5.8~6.0%との見方が多い。

 このように、中国経済は1978年以降40年以上続いた高度成長時代の最終局面にさしかかっており、今後も年々緩やかな減速傾向が続く見通しである。

 10月下旬の北京・上海出張時に、中国政府の経済政策関係者および民間エコノミストに長期的な見通しを聞いたところ、2021~25年の平均成長率は5.0~5.5%、2020年代後半に成長率は3~5%の間で推移するというイメージでほぼ一致していた。

 すなわち、中国経済は2020年代後半になれば、成長率が5%を割り、安定成長期へと移行する見通しである。高度成長時代はあと数年で終焉を迎える。