大阪G20で米中首脳会談、トランプ氏 「歴史的」な貿易協定に意欲

大阪市で開かれた20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせて開かれた米中首脳会談に臨むドナルド・トランプ米大統領(左)と習近平中国国家主席(右、2019年6月29日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News

1.日中首脳会談の充実した内容と
絶好のビジネスチャンスの到来

 G20大阪サミット(6月28~29日)に出席するため日本を訪問した習近平国家主席と安倍晋三首相との間で日中首脳会談が行われ(6月27日)、多くの重要政策方針において合意が成立した。

 注目すべきポイントとしては以下の通りである(主な内容は外務省HPから抜粋)。

 第1に、日中関係が正常な軌道に戻り、新たな発展を得つつあることを確認するとともに、「日中新時代」を切り開いていくとの決意を共有したこと。

 第2に、来年春の習近平国家主席の国賓としての訪日を習主席が原則として受け入れたこと。

 第3に、東シナ海を「平和・協力・友好」の海とするとの目標を実現すること。また外交・安全保障分野の対話をさらに強化していくことで一致したこと。

 第4に、第三国市場、イノベーションおよび知的財産保護、食品・農産品を含む貿易・投資、金融・証券、医療・介護、省エネ・環境、観光交流など、潜在力のある分野における互恵的な実務協力を強化するとともに、自由で公正な貿易体制を発展させていくことで一致したこと。

 第5に、本年の「日中青少年交流推進年」を通じ、修学旅行の相互誘致を積極的に進めていくことで一致したこと。

 以上のように、外交、安全保障、経済、人的交流など多くの分野にわたる合意が成立し、日中関係の改善を全面的に推し進めていく内容となっている。

 特に、来年春の習近平主席訪日が9~10か月も前の時点で原則として合意された意義は大きい。

 日中間で首脳の公式訪問日程がこれほど事前に決定されたことは過去に例がないと言われている。

 これだけのリードタイムがあれば両国政府間で様々の政策協力や声明文を準備する時間が確保できるため、それらの内容が充実したものとなる期待が高まる。