春節期間中の中国人観光客のべ4億人超と予測 海外旅行は700万人

春節期間中の中国人観光客のべ4億人超と予測 海外旅行は700万人。写真は四川省成都市の武侯祠に参拝する人たち(2019年2月5日撮影、資料写真)。(c)CNS/泱波〔AFPBB News

1. 沿海部では人手不足が深刻化

 中国経済は昨年後半以降、緩やかな減速傾向が持続する中で安定を保持している。

 ところが、日本国内の多くの報道では昨年の実質経済成長率が+6.6%と1990年以来の低い成長率だったこと、昨年の自動車販売が前年比-2.8%と同じく28年ぶりに減少したこと、米中貿易摩擦の影響で輸出の伸びが11月以降急速に低下していることなどが強調され、中国経済に急ブレーキがかかっているかのような印象が強まっている。

 筆者は年4回の定例の中国出張で先月1月後半の2週間、北京、上海、成都を訪問した。

 実際に、中国の現場に足を踏み入れてみれば、日本で報じられている中国経済の28年ぶりの低成長、足許の中国経済の急ブレーキといった暗いイメージとはかけ離れた活気のある市場が目の前に現れる。

 沿海部は不動産価格が高く、住宅購入が結婚の前提条件という習慣のある中国において、結婚適齢期の若い世代が手の届く物件は市街地中心部から遠く離れた不便な場所しかない。

 それに比べると、成都、重慶、武漢といった内陸部主要都市では、市街地の不動産価格でもまだ何とか手の届く範囲内にあるため、沿海部に住むのをあきらめて内陸部に引っ越す事例は多い。

 もちろん生活費も内陸部の方が格段に安い。

 そうした事情を反映して、昨年は東部沿海部で働く農民工(農村からの出稼ぎ労働者)が185万人減少したのに対して、西部では378万人増加した。

 企業としても沿海部では必要な労働力の手当てが難しいため、自動車、有機ELなどの巨大工場の新規投資が内陸部にシフトしつつある。

 関連部品メーカーなどもそれと共に周辺地域で生産拠点を新設せざるを得ないため、内陸部での雇用機会がどんどん増えている。

 これが労働力の内陸部シフトをさらに加速させるのは言うまでもない。