東京オリンピックの火を絶対に消してはならない

1.東京五輪を通じ日本が担うべき役割

 新型コロナウイルスとの戦いが世界中で長期化している。

 日本では5月25日に緊急事態宣言が解除されたが、その後も東京、北海道、福岡などではクラスターが発生するなど、安心できない状況が続いている。

 世界各国も苦戦している。

 一旦終息に向かった韓国では再び感染者数が増加し、韓国政府は6月12日、首都圏の外出自粛要請を無期限で延長することを発表した。

 最近新規感染者が出ていなかった中国でも6月13日以降、北京で再び数十名の集団感染が発生した。

 米国は累計感染者数が200万人を超え、死者数も11万5000人を上回る(6月14日時点)など、世界最悪の状況にある。

 米国南部・中西部の州などでは今もマスクを着用しない人が多く、6月中旬時点で全米21州において感染者数が増加するなど、依然深刻な状況が続いている。

 この間、欧州は新規感染者数が減少傾向を辿っており、徐々に域内の移動規制が緩和され始めている。

 一方、ブラジル、インド、ロシアなどでは今も感染者数の増加が続き、状況はますます深刻化している。

 今年の年初に誰がこんな世界を想像していただろうか。

 秋冬になれば、2次感染のリスクが高まるため、早期終息は難しいという現実を踏まえ、来年の東京五輪も「完全な形」での開催を諦め、簡素化を検討せざるを得なくなった。

 一部には開催中止の議論があるほか、2024年まで延期し、同年に予定されているパリ五輪を2028年に延期するとのアイデアもあるなど、来年の東京五輪開催は予断を許さない状況に追い込まれている。

 筆者は最後の最後まで諦めず、可能な限り来年の東京五輪開催を願っている。もし来年の開催がどうしても無理な場合には、何年延期しても次の五輪は東京で開催してほしい。

 その最大の理由は、スポーツがコロナ後のグローバル社会の分裂をつなぎとめる大きな役割を担っているからである。

 そして、利他主義を重んじる日本人が世界の分裂をつなぎとめるリーダーとしてグローバル社会の先頭に立ち、心と心をつなぐスポーツの役割を通じて世界を団結へと導いてほしいと願うからである。