溝手氏は「敵」として位置付けられ、その票を取るというのだから、“溝手落とし”が最大の選挙戦略だったということになる。党本部から案里陣営への1億5000万円という、自民党内でも驚きと批判の声が上がった巨額資金の提供もこのためのものであったと見られても仕方がないだろう。

 6月24日付「しんぶん赤旗」によると2019年1月以降、河井克行容疑者が法相を辞任する10月までに官邸で、安倍首相と12回も面会をしていたという。うち9回は自民党総裁補佐としての単独の面会だった。しかも、克行容疑者が安倍首相と単独で面会した前後に巨額の資金提供が行われていたというのである。実際、「安倍さんから」と言われて克行容疑者から金を渡された町議もいる。

金子恵美元衆院議員の衝撃の告白

 安倍チルドレンの1人であった元自民党衆院議員の金子恵美氏が6月22日の文化放送で、次のような衝撃的な発言を行なった。

「実際、私自身もですね、正直、選挙の時に『お金を配らなければ、地方議員の皆さんとか、みんな、協力してくれないから。みんな、やってるんだから、配りなさい』というふうに私自身言われました(教えられた)」

「各県それぞれ、やり方があるみたいですね。完全にアウトにならないグレーなやり方とか。名目を変えるとか。実際、お金が飛び交っているという事実は、過去の話のように思われるかもしれないが今現在も残っている」

 証拠のないことなので、自民党は否定するだろうが、金子氏があえて嘘を言う必要もないことである。

秘書を大事にしない政治家は墓穴を掘る

 最近の政治家のスキャンダルを見ていると、秘書が告発したり、情報が漏洩している場合が多いように思う。

 3年前、『週刊新潮』(2017年6月29日号)が報じた自民党衆院議員豊田真由子氏の秘書への暴言・暴行報道は、なかなか衝撃的なものだった。豊田氏は、東大法学部を卒業し、ハーバード大学大学院も修了した厚労省の官僚であった。一般的に言えば、超エリートであった。

 ところがこの豊田氏が、移動中の自動車の中で秘書に対してイライラを募らせ、「このハゲーー!」「違うだろう!」などと狂気じみた怒鳴り声をあげるなど、暴言を吐いていたというのだ。秘書がICレコーダーに豊田氏の絶叫や罵詈雑言を録音していたのだ。しかもこの声がテレビなどでも公開されてしまった。

 豊田氏は、自民党に離党届を提出するしかなかった。次の選挙に無所属で立候補したが、あえなく落選した。秘書の告発にやられてしまったのだ。

 河井克行容疑者の場合も、秘書の評判はよくなかったようだ。ある元秘書はテレビの取材に、「最悪の人間だった」と言われていた。

 選挙区に香典などをばらまいていたとして、経産相を辞任に追い込まれた菅原一秀衆院議員の場合もそうだ。『週刊文春』(2020年7月2日号)に、「“香典持参”の秘書が告発 『菅原前経産相の悪事、すべて話します』」という記事が掲載されているほどだ。

 秘書を人間扱いしないような議員は、いずれ墓穴を掘ることになる。野党にもひどい議員がいたことを私は知っているが、秘書を小間使いのように使うやり方は時代錯誤ということを議員各位は肝に銘じてもらいたい。