ただ、赤ちゃんが十分に健康で元気な場合は、ミルクをあげるのを少し焦らして、お腹がしっかり減ったのを見計らってから与えてみるのは試す価値がある。赤ちゃんもぐっすり眠れるし、世話をする親御さんも睡眠を確保できる、ほんのちょっとしたコツになると思って、紹介する次第だ。

通報が怖くて泣かせていられない

 ただ、こうしたことを都会ではやりにくい面がある。赤ちゃんが長時間泣いていると、虐待を疑われ、児童相談所に通報されるのではないか、と不安を抱いているお母さんたちが多いからだ。

(参考記事)育児中のお母さんたちが抱く、知られざる「不安」とは
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55644

 このため、赤ちゃんが泣いたらすぐにでも泣き止ませようとする。「あんまり泣いていると、通報されてお母さんと離れ離れになってしまうよ」と、不安になるお母さんの声を、私は何人も聞いてきた。そんな不安を持っていては、おちおち赤ちゃんを泣かしたまま「焦らす」気持ちの余裕を持っていられない。

子育て世帯に温かいまなざしを

 子どもの泣き声に通報の不安を抱えるのではなく、父母が赤ちゃんに適切に対応できるゆとりを持てるように。社会が子育て世帯を見守るゆとりが必要なのではないか。

「赤ちゃんは泣くのが仕事」という言葉がある。これはなかなか含蓄が深い。

 赤ちゃんがよく泣けば、ミルクをよく飲み、よく眠るようになる。ひいては子育てする親御さんたちの睡眠と休息を確保することにもつながる。赤ちゃんの適度な泣き声を、微笑ましく受け入れられる社会となることを願ってやまない。