授乳のコツは「焦らす」

 赤ちゃんが十分に元気なら、泣いてすぐミルクを与えるのではなく、少し様子を見てみよう。泣いていても、「これは赤ちゃんに必要な運動、肺活量を鍛え、声を出すための筋肉を鍛えているのだ」と思い、しばらく見守る。そのうちに赤ちゃんははっきり目が覚めてきて、空腹感も増してくる。すると泣き声のモードが変わる。本当にお腹が減ったのだ。

 そこでミルクを与えると、飲む量が違う。空腹のピークに来ているから、しっかりした量を飲む。ゲップをさせて寝かすと、泣き疲れもあってぐっすり眠る。お腹が膨れているから、睡眠時間も長めとなる。

二番目、三番目の子育てから見える「コツ」

 私は3人兄弟の長男として生まれた。母親にとっては初めての子だったから、母は大変緊張したらしい。

 泣いたら即座にミルク!を繰り返したところ、赤ちゃんだった私はちょっと飲んだだけですぐ眠ってしまい、やはりすぐに目が覚めて泣いたそうだ。母は睡眠が全く取れず、非常に参ったという。

 ところが第3子となる弟が生まれた頃には、上の2人の子どもがいるものだから「おかあさーん」「おかあさん、ちょっときて」と母は声をかけられてばかり。掃除洗濯もある。赤ちゃんだけに構っていられない。赤ちゃんが泣いていても「ちょっと待っていてね。これが済んだら行くからね」と待たせていた。

 人心地ついた頃には赤ちゃんの泣き声が「本気モード」に転換している。「今日は泣き声が激しいなあ・・・あ、ミルクあげるのを忘れてた」

 すると、弟は満タンの哺乳瓶一本をズボーッと飲み干した挙句、お代わりまで要求。飲める時にしっかり飲んでおかなければ!という勢い。ゲップをした後、ぐっすり眠った。泣き疲れてしっかり運動した上にお腹いっぱいになったから、よく眠ったようだ。

泣くことにも効用がある

 私はこの話を母親から聞かされていたので、「赤ちゃんが元気であるならば、ミルクを与えるのを少し焦らすくらいがよいのでは」と仮説を立てた。嫁さんと相談して自分の子どもたちで実践してみたところ、2人ともミルクをよく飲み、よく寝るようになった。

 研究者としては、反復数が少な過ぎて、絶対これで大丈夫!とはとても言えない。まだ「仮説」の域を出ない。赤ちゃんが病弱な場合は健康をケアすることが優先されるので、どの子でも適用してよい方法だとは思わない。