健気さがいとおしい

 でも、よく見ると、城下に面した正面側だけ立派に作ってあったり、正門だけは小さいけどカッチリ枡形虎口にしてあったり。意外に見栄っ張りだったりするのです。「小さいけど、ウチだってれっきとした大名だからね」と自己主張しているみたいで、その健気さが何だかいとおしくなってしまいます。

写真6:小島陣屋の表門。石垣でカッチリ囲まれた枡形虎口。でも、小さすぎ。ガチで攻めてきたら、防げないだろうなあ。

 門や御殿といった建物が、意外に残っていたりするのも、陣屋の魅力。そして、サイズが小さい分、時代が身近に感じられる気がします。歩いていると、殿様やご家老様が、そのへんからひょっこり顔を出しそうです。

写真7:兵庫県の林田陣屋は建部(たけべ)家1万石。石垣のほか、敬業館という藩校の講堂が残っている。小藩でも藩士の教育は手を抜いていなかったことがわかる、貴重な建物。実は、兵庫県は陣屋の宝庫なのだ。

 大小さまざまな大名がいて、大きくて強くて立派な城ばかりではなく、小さくて弱くてショボい陣屋もあって、そうやって全体でひとつの社会、ひとつの時代が形づくられている。そんなことに気づかせてくる陣屋たち。僕は、好きです。

おまけ:秋月の陣屋町を散策中に立ち寄った茶店に、「むし雑煮」という看板が。見たことのないメニューだったので、いただいてみたけれど、茶碗蒸しの中にお餅が入っている感じで、おいしく小腹を満たしてくれた。こんなふうに、事前にあまり情報収集せずに、自分のカンを頼りにおいしいものを見つけるのも、僕流の城の楽しみ方。