普段よりも人が少ない新宿・歌舞伎町。撮影されたのは緊急事態宣言発令前の3月31日(写真:長田洋平/アフロ)

 2020年という年を、人類は歴史に刻んで忘れることはないだろう。中国から湧き出した新型コロナウイルスという名の黒雲が、あっという間に世界を覆いつくした。我が国も4月に入って「緊急事態宣言」を発令し、個人の活動を制限せざるを得ないという異例の事態に及んでいる。

失われる仕事と希望

 コロナ禍の中、様々な人が日常生活の変化に戸惑っている。小中学校をはじめ、大学は授業を行えず、学力の格差が問題視されている。会社勤務の人たちは不慣れなテレワークを強いられ、在宅勤務でストレスを蓄積している方も多いのではないだろうか。

 最も深刻な問題は、コロナ禍で仕事を失う人たちがいるということである。「3密」回避のため、飲食業や販売業、レジャー施設等、あらゆる業種に自粛要請があり、街は様相を一変させた。

 店舗の臨時休業は、経営者に重い負担を課す。しかし、困惑し、明日への希望を失うのは、そこで働く派遣など非正規雇用の人たちである。かく言う筆者も、物書きだけでは食えないので、就労支援に従事する派遣スタッフの草鞋も履いているから、非正規の窮状は身に染みて分かる。明日への希望を失うことは、もしかしたらコロナ罹患より恐ろしく、日本社会の体力を奪い病に至る可能性がある。