本稿が公開される4月8日から、「緊急事態宣言」が発効します。
「宣言」そのものは、校正をしている4月7日に出され、その内容を踏まえたアクションが動き始める(あるいは社会が止まり始めるというべきかもしれませんが)タイミングで、この措置は長引く可能性を覚悟しておいたほうがよいことを、まず指摘しておきたいと思います。
官邸が「5月の連休あけまで、ひとまず1か月」などというのは経済への影響、とりわけ株価など資産経済への波及効果を考えた「アンダーステートメント」、割引値引きであって、5月にCOVIDのワクチンが開発、普及といったことはあり得ません。
折しも東京大学での私の講義は4月7日、宣言と同じ日に始まりましたので「今年丸1年、講義は基本遠隔と思うように」と、すでに長期戦を伝えています。
夏に実施するはずの大学院入試も、普通のままでは実施できる見通しが立っていないくらいであるから、とも話しています。
4月6日月曜、例年なら新学期を迎え、学生であふれ返るはずの大学キャンパスは、人気(ひとけ)がなく、しんと静まり返っていました。
さて、ここで気になるのは、ニュースは「7都道府県1か月」と報じますが、関連の発表を行う政治家も官僚も、状況をあまり科学的に把握しているようには見えないことです。
言われたことをしゃべっている。中身を理解、把握した人間の言葉でないのが端々から丸見えになっているので、薬として、私の手計算ですが、何が懸念されているか、シミュレーションでお見せしましょう。
4月に入って東京都内では連日100人を超す感染者が確認されました。4月6日は「86人に減った」などという表現も目にしましたが、それが妥当なものだと私は思いません。以下のグラフを見てください。
4月5日から6日にかけて、新たに確認された感染者数が「減少」したというのは、グラフで見る、棒グラフの右端2つの間のギャップが少し小さいという状態を示すのに過ぎません。
3月20日以降に確認された感染者数を「ネズミ算式」のモデル、正確には指数関数を用いてシミュレーションしてみると、4月第2週末には4000近く、第3週末には8000を超す感染者が確認されても、決して不自然ではない・・・。
このグラフはそのような推移を示唆しています。