東京都の感染拡大について発表する小池百合子都知事(3月25日、写真:つのだよしお/アフロ)

 IOC(国際オリンピック委員会)からの延期示唆で、本格的に2021年開催となりつつある東京オリンピック。

 五輪は社会、経済的な波及効果が大きいうえに、政局にも直結するので、そうしたウイルスや疾病と無関係な観点での観測、憶測などを多く目にします。

 アスリートはおよそファーストではなく、正論に言及したJOC理事に緘口令まがいのコメントなど、リアルな現状把握とかけ離れた、相当末期的な「ポストトゥルース」の状況にあります。

 そんななか、3月も下旬となり、4月からの新年度、新学期に向けて大学も学生たちも準備を進めています。

 東京大学でも、多くの授業を遠隔で行う方向で準備が進められており、私たち教員はその対策対応に追われています。

 都内の感染者数が激増し、本郷キャンパスでは赤門などの門が閉鎖され、自由な往来を制限しました。

 通学や入学手続きの必要のある新入生、東大病院の通院者などの特定の門からの出入りのみに制限しています。

 学内から感染者の報告も出ており、対策には入念を期しています。

 しかし、逆に考えるなら、遠隔授業ばかりになると、学生にいったい何が起こるのか。

 地方から東京に出てきて下宿している学生のケースを考えてみましょう。

1限  8:30-10:15 遠隔 下宿でパソコン
2限 10:25-12:10 遠隔 下宿でパソコン
3限 13:00-14:45 遠隔 下宿でパソコン
4限 15:55-16:40 遠隔 下宿でパソコン
5限 16:50-18:35 遠隔 下宿でパソコン

 夕方からバイトに出かけよっかな・・・というような生活になりかねません。これではいけない。

 一方で職場や学習の「テレワーク」「テレラーニング」化が進むことには利便もあると思います。

 しかし、上記のような度外れた「テレ」環境では、学生のモナド化、学園の実質的な機能不全ないし、崩壊に近いリスクも考えないわけにはいきません。