アメリカの大規模な景気刺激策により値を上げていた香港株式市場だったが、世界的な景気後退への警戒感から3月26日には3日ぶりに反落。深刻な経済危機に対する懸念が広がっている(写真:AP/アフロ)

 世界の感染者が40万人を超え、WHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的流行)を宣言する中、3月26日夜に初めて、新型コロナウイルス問題を巡って約2時間10分のG20首脳テレビ会議が開かれた。

<ウイルスは国境にとらわれない。この共通の脅威に対して共同戦線を張ることに強くコミットする。強大な財政支援の実施を継続する。世界経済を立て直し、雇用の保護と成長の回復のための強力な基盤を設定する。5兆ドル(約550兆円)超を投入する>

 G20の共同声明には、「2つの苦悩」が滲んでいる。第一に、77億人の人類を蝕むコロナウイルスは、世界に例外なく進んでおり、各国・地域が協力して健康被害から守って行かねばならないということ。もう一つは、やはり世界に例外なく経済被害が進み、各国・地域が協力して金融の安定、雇用の確保などを図っていかねばならないということだ。

気鋭の経済学者・金刻羽氏

 人間誰でも、悲観的なことは考えたくないものだが、健康と経済という「2つの危機」について、「津波」が迫ってきているのだ。

 経済に関しては、3月26日に内閣府が発表した「3月月例経済報告」でも、<景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある>と、初めて景気の悪化を明確に認めた。そして、この先どうなっていくのかについては、こう記している。

<先行きについては、感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる。また、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある>

 政府の月例経済報告が示しているのはここまで。あとはわれわれが、自分たちで考えていくしかない。