2月3日、上海証券取引所のロビーにある株価ボードの前に立つ防護服姿の男性(写真:AP/アフロ)

 それは中国の証券用語で言う「断崖式下跌」(断崖絶壁から飛び降りるような下落)だった。1月23日から、長い春節休みに入っていたが、11日ぶりに2月3日に再開するや、7.72%も下落し、上海総合株価指数は2746ポイントで終えた。2月4日も、2685ポイントで始まった。

 そんな中、中国のある経済学者に話を聞いた。以下は、一問一答である。

――昨日(2月3日)の株価暴落をどう見ているか?

「3日は、上海と深圳の株式市場を合わせると、3209銘柄がストップ安となった。これは全体の83%にあたる。

 前回、暴落したのは、人民元を強引に切り下げた直後の2015年8月24日だった。この時は、2187銘柄、全体の79%がストップ安となった。そのため、今回の暴落は5年前以上に深刻な事態と言える。

 だがその反面、光明がないわけでもない。前回の暴落時は、たったの16銘柄しか株価が上がらなかった。だが2月3日は、160銘柄も上昇したのだ。これは主に医薬保健業界の株だ。マスクや種々の薬が不足しており、それらに関係した銘柄は、今後とも上昇を続けるだろう」

事態鎮静化しても、世界の人々が武漢や中国に行きたいと思うか

――現在、中国では、経済活動の基本となるヒト・モノ・カネの動きが、事実上ストップしている。これは中国経済に、致命的な影響を与えるのではないか。

「あまり悲観的に考えたくないが、この状況が今後とも続けば、中国経済は危険水域に陥るだろう。新型コロナウイルスで、まず犠牲になったのは、体力のない高齢者だった。同様に、中国経済でもまずやられるのは、体力のない中小零細企業だ。工場もオフィスも動かない。それでも工員や社員の給料と、工場やオフィスの家賃を支払わねばならない。この状態が続けば、中小零細企業の倒産問題が深刻化するだろう」