IOCのトーマス・バッハ会長(写真:freshfocus/アフロ)

 先行きが見えない。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、世界のスポーツ界も公式戦やイベントが次々と延期、もしくは中止へと追い込まれている。

 米国のMLB(メジャーリーグベースボール)はCDC(米国疾病予防管理センター)の勧告を基に開幕時期を大幅に遅らせることになり、7月下旬の開幕説やシーズン中止に関する報道まで飛び交うなど新たな予定すら立たない状況だ。

 サッカー界もUEFA(欧州サッカー連盟)が今年の6月から7月にかけて開催予定だった「EURO(欧州選手権)2020」の開催を1年延期すると発表。そしてCONMEBOL(南米サッカー連盟)も今大会からEUROと同じタイミングでの4年ごとの開催に変更され、今年6月開催予定だった「コパ・アメリカ(南米選手権)2020」の1年延期を同じく決定。これによってFIFA(国際サッカー連盟)は2021年に中国で開催予定だったクラブ・ワールドカップの1~2年の延期を決めざるを得なくなった。

 このEUROとコパ・アメリカは今夏、世界3大スポーツイベントとして注目を集めていた。残る1つは言うまでもなく東京五輪である。2大会延期の影響はどう見ても避けられそうにない。

パンデミックでも「五輪開催は予定通り」

 新型コロナウイルスがパンデミックとなり、世界中に混乱は広がる一方。それでもIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長、日本の安倍晋三首相、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会・森喜朗会長は東京五輪の開催を「予定通りだ」と強調し続けている。東京五輪開催のキーパーソンとも言える3者はここ最近、大会の延期や中止について質問が及ぶと頑なに否定するのがお決まりのパターンだ。平静を装っていても内心は慌てていることだろう。