3月20日、宮城県の航空自衛隊松島基地で開かれた聖火到着式に参加した金メダリストの野村忠宏氏(右)と吉田沙保里さん(写真:アフロ)

 ひとまず大会に携わる側にとっては「最悪」のケースを回避できたようだ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今夏の開催予定だった東京五輪は1年程度の延期が決まった。大会中止の可能性もあっただけに、それだけは是が非でも避けたい安倍晋三首相、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会・森喜朗会長、東京都・小池百合子知事ら日本側のトップたちは大同団結。3者は「あくまでも東京五輪は予定通りの通常開催」とうそぶきつつ周囲を煙に巻きながら水面下で延期へと舵を切って調整を図り、怒とうのスピード決着で「ベストではないがベター」(小池都知事)な結果を辛うじて得た。

 IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は具体的な日程の明言を現段階では避けているが、会場の確保など多くの難問を抱える日本側が早急に準備を進めなければならないことから一刻も早いスケジュール決定を迫られている。

東京五輪、来春開催の可能性も

 IOCと大会組織委員会は4月中旬に準備状況等を確認する会議を開催する予定を組んでいるものの円滑に進めていくためには、それ以前に新たな日程発表を行わなければならない。

 IOCと日本側は新たな開催スケジュールについて「2020年以降だが、遅くとも2021年夏」で合意している。

 最も有力視されているのはちょうど1年延期となる2021年の夏だ。来夏開催予定でバッティングする可能性のある水泳(同年7月16日~8月1日・福岡)、陸上(同年8月6~15日・米オレゴン州ユージーン)の世界選手権はそれぞれの主催団体が必要とあれば日程を変更する姿勢をみせていることも大きい。何と言っても夏ならば欧米の人気スポーツの開催時期と重ならないことはプラス要素だろう。五輪の放映権を持つ米放送局NBCの賛同も二つ返事で得られる。