ベテルギウス爆発、生態系への「光害」はあるのか?

農作物に昆虫、サンゴ、月光に左右される生物はどうなる

2020.02.14(Fri)漆原 次郎

月光量をつてに一斉産卵するサンゴや魚も

月光に照らされる海。多くの水棲動物が、満ち欠けする月明かりを生殖活動などの時計合わせに使っている。

 魚などの水棲動物に対する影響も気にかかる。養殖魚は光を制御しやすいが、天然魚はそうはいかない。

 英国の環境・漁業・水産養殖科学センターの研究チームは、タイセイヨウサケの仔魚の孵化日や時刻に対する夜間照明の影響を、実験環境下で調査した。報告によると、1.0ルクス以上の環境で仔魚の流下は1.4〜2.2日遅れ、その日内の時刻としても2時間ほど遅れたという。この実験では1ルクス未満の照度としては0.1ルクスしか用意しなかったため、ベテルギウス爆発レベルの光の影響があるかどうかは不明だ。

 水棲生物には、満月などの特定の月齢の夜に一斉産卵する種もある。たとえば、「海の熱帯林」ともよばれ、生態系に重要な役割を果たすサンゴには、夏の満月の夜に一斉に産卵する種がある。これらの種は、月の潮汐だけでなく月光の情報もサンゴが受け取っている可能性があるとされている。また、琉球大学などの研究チームによると、サンゴ礁に生息し、夏の上弦の月の日に産卵するゴマアイゴなども、月光の量を情報のひとつにして月齢を細かく認識する仕組みを持っているという。

 月光量を情報とする水棲生物に、ベテルギウス爆発の半月ほどの光が加えられたとしたら、繊細な産卵の仕組みに乱れが生じることは想像にかたくない。

いつ爆発が起きてもおかしくない

 農作物、昆虫、水棲動物への影響を考えてきた。安心材料としてあるのは、ベテルギウスの爆発後、最大の明るさが続くのは4カ月ほどと限定的だということだ。また、ベテルギウス爆発の明るさの分、街の灯りを暗くするなど、人手による夜の明るさの調整は可能ではある。

 ベテルギウスはすでに寿命を迎えているため「いつ爆発が起きてもおかしくない」ともいわれる。逆にいえば、いつ爆発が起きるかは誰にも分からないのが実状だろう。

 いまを生きている人類がベテルギウスの爆発に遭遇するかは分からない。だが、有志以来もっとも明るい星の爆発後について考えを巡らせておくことは、後世に対する遺産にも、現在の光害に関心を持つ機会にもなる。

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