ベテルギウス爆発、生態系への「光害」はあるのか?

農作物に昆虫、サンゴ、月光に左右される生物はどうなる

2020.02.14(Fri)漆原 次郎

わずかな星明かりの下で活動する昆虫も

 昆虫には、農作物の「害虫」とされる種も、また生態系サービスにおける「送粉者」となる種もある。ベテルギウス爆発の影響を考えるべきは、作物より昆虫かもしれない。

 昆虫たちは太陽、それに月や星などの光源を、自分の進んでいる方向や、進んだ距離などの情報把握に利用している。夜行性のアリ類、ヤガ類、オオハサミムシ、タマオシコガネの一種などは月を利用しているし、ヤガ科の一種には月のない夜でも星を利用して渡りをしている可能性があるという。

 さらに、夜行性昆虫には、巨大な複眼を持つことで視覚的な感度を上げ、星明かり程度の暗闇でも色の分別を明確にしている種がある。たとえば、害虫にも送粉者にもなるガなどだ。

 多くの昆虫は、可視光よりも波長の短い紫外線への感受性が高い。ベテルギウスを観測してきた米国のエドワード・ガイナン教授が登場するCNN記事によると、「(ベテルギウスから)放射された紫外線が大気中のオゾン層を破壊する可能性がある」。前述のようにガンマ線の直撃でオゾン層が破壊されることは避けられても、可視光とともに届く紫外線でオゾン層が破壊されることは否定できないととれる。オゾン層の破壊自体がインパクトの大きな現象となるだけに看過できない。

 昆虫は知られているだけで100万種、未知のものを加えると500万〜1000万種いるとされる。夜行性昆虫には、光源に向かって進む「正の走光性」を持った種もあれば、逆の「負の走光性」を持った種もある。種が多様なだけに、明るさがもたらす作用も多様だ。

 これらの情報からすると、半月レベルの明るさが夜空に加わっただけでも、影響を受けてしまう昆虫は確実にいそうだ。農作物や生態系サービスへの影響についても考えておいたほうがよいだろう。

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