日本学術会議の時代錯誤

「朝日新聞」(2017年3月25日)によると

「日本学術会議は24日、大学などの研究機関の軍事研究に否定的な新声明を正式決定した。・・・総会で審議し、多数決で決める予定だったが、約200人の会員全員が参加する総会で議論が紛糾すれば、声明が決定できなくなる可能性もあるとして、会長や各分野の部長ら12人が出席した幹事会で正式決定した」

「声明は・・・軍事研究を禁じた過去2回の声明を継承する内容。・・・検討委員会委員長の杉田敦法政大教授が『重要なテーマであり、社会の関心も高い』として総会での審議を提案したが、民生と軍事の線引きが難しい工学系の幹事らが、『会員の意見は過去の総会などでも聞いており、手続きに問題はない』と主張。幹事会で決定することにした」となっている。

 1950年と67年の声明は総会で決めていたが、今回はわずか十数人の幹事会で決めた。しかも半世紀以上前と今日ではエレクトロニクス、その他の研究開発の分野の拡大が考慮されていない。

 最も致命的なのは、多くの研究が両用性を有し、軍事をはじめとした安全保障環境に著しく関係するようになったことである。

 総会での紛糾を懸念したというが、軍事研究に関わらないことが安全だという認識であろうが、今日では両用性が教えるように、研究に関わることが抑止力につながるわけで、現実をあえて逃避した無責任としか言いようがない。

 今回のILCを「重点大型研究計画」から外したのも、科学技術の視点だけからみる視野狭窄症がもたらした結果ではないだろうか。

 研究者のすそ野を広げることや安全保障などを考慮した見方など、日本学術会議には科学者といえども世界の趨勢や安全保障まで視野をもっと広げた責任感が求められているといえよう。