民間技術を多用する軍事システム

 かつては民間技術の多くが軍事技術から生まれてきた。

 MILスペックと呼ばれる軍需品に対する米国防総省の規格で、複雑な武器システムばかりではなく、衣服など軍に納入するものすべてに適用された。

 武器や人が直接的に戦う戦場においては、酷寒から酷暑、密林から砂漠の戦場でも有効な環境性や耐久性、システムやパーツの迅速な互換性などが求められたから、厳しい規格が必要であった。

 また、全世界に展開する米軍は広域の指揮・通信能力が必要であり、宇宙の活用は必然的であった。そうした中からインターネットや衛星通信など生まれてきた。

 ところが、エレクトロニクスや情報技術(IT)の進展で、指揮・通信にこれらを活用した技術が多用されるようになった今日では、指揮・通信系の破壊で戦況を支配できる電子戦が発達した。

 こうして戦闘様相は、従来の兵器や軍隊を壊滅するハードキルから、軍隊は健在しても指揮・通信系の電子的撹乱で機能させないソフトキルに移行してきた。

 従来の厳しい規格は必ずしも重要でなくなり、民間や大学の研究開発で生み出されるエレクトロニクスや情報技術などが軍民両用(デュアル・ユース)技術として重用されるようになったのだ。

 そこで、防衛省でも従来から防衛産業に関わってきた企業だけでなく、先進技術などを発掘すべく産業界・学界に広く公募するようになってきた。

 学界などにおける研究資金の縮小傾向から、多くの応募と創造的なアイデアが期待されたが、そこに立ちはだかったのが日本学術会議である。