あまりに壮大過ぎる宇宙が手に負えるのだろうかという絶望さえ抱くが、より良い文明社会を築くため、また真理を追究するため、あるいは地球脱出の必要に迫られた時のためにも、宇宙の研究探索を止めることは許されない。

 現実世界とは無縁な夢物語としか受け取られないであろう。しかし、現在直面している地球温暖化など、われわれの日常生活に大いに関係していることも事実である。

 ざっと見た限りでも、宇宙の探求はその施設に関わる技術開発なども含め、IT、医療、材料、農業、環境・エネルギー、安全、歴史など、いろいろなところに関係する興味津々なものである。

核燃料発電の研究にも裨益する

 今日安全が確立している原子力発電は核分裂で行われているし、実用炉には至っていないがその一歩手前の実証炉の段階にある熱核融合発電においては核融合という原子核の反応が応用されている。

 しかし、福島の原発事故で大いに困惑しているように、原子の世界については実際のところ、分からないところが多い。

 分からないところばかりだと言ってもいいかもしれない。そうしたところの解明にも、素粒子の研究が大いに役立つに違いない。

 1960年代においては、化石エネルギーの経済的可採期間は約30年とみられていた。そこで、化石燃料に代わるものとしての原子力発電が焦点を浴びるが、核廃棄物問題が生じる。

 こうして、核廃棄物をもたらさない核融合発電の研究が萌芽する。筆者はそうした当初の段階で、熱核融合に関わる研究に短期間ながら参加することができた。

 全学連の活動が活発で昼間の研究は阻害されたが、夕刻から朝にかけて寝食を忘れて熱中したものである。

 当時は20世紀末にも熱核融合発電が可能ではないかといった雰囲気もあったが、約2億度のプラズマを持続的に閉じ込める方法に手間取り、実用炉の開発には至っていない。

 先述のITERは核融合実験炉で2025年の運転開始を目指している。2027年に核融合反応を確認し、2035年の本格稼働を目指すとしている。

 その先に実証炉、次いで実用炉となるわけで、発電は2055~60年とされ、核融合の萌芽からちょうど100年である。