大規模な調査により、「日本人の歯をめぐる状態」が詳らかになる。

 日本人の「歯」をめぐる状況はよくなっているのか、それとも――。

 厚生労働省が行っている「歯科疾患実態調査」では、直近の調査で、大きな目標とされる「8020(はちまるにいまる)」、つまり80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が、初めて5割を超えた。この成果のように、全体的にはよい傾向が見られる。

 だが、その反面、高齢になるにつれて、いくつかの「歯の問題」を抱える人の率が増えている傾向も見られる。調査結果や立てられている目標などから、「自分の歯で8020を実現できそうか」を考えてみたい。

約2人に1人が硬いものを生涯、食べられる時代

「8020」は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保つ」ということ。およそ20本以上の歯が残っていれば、硬い食べものでもほぼ満足に噛むことができることを示す科学研究や、愛知県の住民を対象に行われた疫学的調査などから、「8020運動」が1989(平成元)年から、当時の厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会により推進されてきた。

 厚生労働省は、日本の歯科保健の状況を把握するための「歯科疾患実態調査」を、1957(昭和32)年から定期的に行っている。そして、直近の2016(平成28)年調査で、「8020」達成者は51.2%となり、初めて5割を上回った。80歳になっても20本以上の歯が残っている人は、いまや2人に1人以上となっているのだ。

 20年前の1999(平成11)年の調査では、達成者の率はわずか15.25%だった。「8020」をめぐっては、状況が大きく改善されてきたといってよさそうだ。

20本以上の歯を持つ人の割合の年次推移。2016(平成18)年の被調査者数は、男2868人、女3410人、計6278人。 (出所:厚生労働省「歯科疾患実態調査」結果をもとに筆者がグラフ作成。以下のグラフも同様)
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