ブラジルをOPECに取り込みたいサウジ

 このような状況下で12月5日のOPEC総会が近づきつつあるが、市場関係者の注目は現在の日量120万バレルを超える追加減産を行うかどうかである。

 ナイジェリアの石油相は「会談したサウジアラビアのアブドラアジズ石油相は『さらなる減産の用意がある』と語った」としている(10月29日付OILPRICE)が、厳しい財政状況にあるサウジアラビアはいまだ態度を決定していないのが実情であろう。

 サウジアラビアとともにOPECプラスを支えるロシアは、「減産協議は時期尚早である」との主張を繰り返している。ノバク・エネルギー相が10月22日に「米国の原油生産はあと数年でピークを迎える公算が大きい」と述べたように、その背景には「シェールオイルの大増産の脅威は去りつつある」との認識がある。

 しかし、協調減産幅についての新たなアクションを起こさないと、原油価格はさらなる下落を招く懸念がある。

 原油価格の上昇を願うサウジアラビアがとろうとしている苦肉の策は、最近増産の勢いが増しているブラジルをOPECに取り込むことである。10月30日、ブラジルのボルソナロ大統領は、サウジアラビアのリヤドで開かれた投資会議の場で個人的な見解と断りながら「ブラジルをOPEC加盟国にしたい」と述べた。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、ブラジルでは南東部沖合の大規模海底油田「プレソルト」の開発が進み、生産量は過去10年間で4割増加し、9月の原油生産量は日量310万バレルとサウジアラビアやイラクに次ぐ生産規模となった。ブラジルでは今後も原油採掘に対する入札が相次ぎ、世界の石油大手会社がこぞって参入すると見込まれていることから、近い将来原油生産量は日量500万バレルを超える可能性が高い。

 米国のシェールオイルの大増産が一息ついたと思ったら、次はブラジルの番である。

“切り札”はブラジルへの大規模投資

 サウジアラビアとしてはブラジルをOPEC加盟国として自らのコントロール下に置きたいところである。しかし、OPECに加盟することによって減産を求められる可能性が高いブラジルにとって、メリットは見当たらない。

 OPEC当局者によれば、ブラジルと加盟の話し合いはしているが、正式な加盟申請は来ていないという。ブラジルの国営石油会社ペトロブラスの関係者も「同社内でOPEC加盟が話し合われたことは一度もない」と否定的である(10月30日付ロイター)。